血液培養検査


◆血液培養検査とは?

発熱などの原因菌を調べる時に実施され

る検査です。

以前は動脈血の培養検査が多く実施され

ていましたが、現在では静脈血での検査

が多くなってきています。

 

◆血液培養検査の採血方法

☆医療機関などにより少し異なります。

ここでは看護師が実施できる静脈血での

血液培養検査の採血方法について記載してあります。

 

●必要物品

培養ボトル(カルチャーボトル)2本

(好気性菌用と嫌気性菌用)

消毒用アルコール(消毒用エタノール、

70%イソプロパノールなど)

ポピドンヨード(イソジンなど)

滅菌手袋

 

●穿刺部位の消毒

最初にアルコール綿で穿刺部位を清拭し

その後、イソジンなどで消毒(中心から

外へ広範囲に消毒)します。

医療機関などによっては、イソジン等で

消毒後、アルコール消毒するところも

あります。又、イソジンなどが使用でき

ない方には、アルコール消毒を2回、

反対に、イソジンだけで2回消毒する

ケースもあるようです。

消毒後はよく乾燥させます。

 

採血後(針を抜去した後)、ハイポアルコ

ールで皮膚に付着したイソジンなどを脱色

してくれるナースもいます。

 

●穿刺部位について

主な穿刺部位には、肘正中皮静脈、

橈側皮静脈、尺側皮静脈、

前腕正中皮静脈などがあります。

肘正中皮静脈が推奨されています。

上記の血管以外に手背の静脈を選択する

場合もあります。

 

血管確保をしている場合は輸液ラインから

採血する場合もあります。この場合は汚染

菌が混入する確率が高くなります。

 

血管を選ぶ時のポイント

人によって血管の走行は異なりますので

より安全な血管を選択する必要があります。

下記に血管を選ぶ時のポイントを簡単にまとめてみました。

①肘窩線より遠位(末梢側)の血管を選択

②正中線上又は外側(橈骨側)を選択

③浅い血管を選択

肉眼で容易に確認できる血管、浮き出て

いる血管など。

わかり難いようであれば、駆血帯で確認してみる。

 

④より太い血管を選択

⑤安定した血管

動きやすい血管もあります。

 

⑥弾力があり、柔らかい血管

硬い血管は動きやすく針が貫通し難い。

同じ部位を頻回に刺された血管は脆くて

硬くなっている場合が多いので、避けます。

 

*肘窩線とは?

肘を曲げた時の内側の線 又は、

上腕骨の内側上顆と外側上顆を結んだ線

 

●採血の実施

血液培養検査の時は間隔をおいて2~3

回採取するか、時間をおかずに、2ヶ所

以上の部位から採取します。

採血する時は、滅菌手袋を着用します。

穿刺する部分には触れないようにして、

針を刺します。

採血量は成人の場合は、1回の採血で

10ml~20mlが一般的だと思います。

★カルチャーボトルの種類(メーカー等)に

よって採血量は異なります。

 

 

◆培養ボトル内へ血液を注入

●ボトルのゴム栓の消毒

採血した血液をボトル内に移す時に

雑菌などが混入しない様に、培養ボトル

のゴム栓の部分を消毒する必要があります。

ゴム栓のキャップをはずして、イソジン

などで消毒した後、アルコール綿で消毒

又は、アルコール綿だけで消毒。

 

●ボ トル内に注入する方法

針は刺しかえずに、ボトル内に注入します。

 

*新しい針に刺し換えない理由

・採血時の消毒がしっかりされていれば

換える必要性はない。

・針を刺しかえる際に、かえって雑菌等

が混入するリスクが高くなる。

・針刺し事故の防止 など

 

●注入する順番

好気性ボトルから先に注入して、嫌気性

ボトルへ。

量が少なかった場合は好気性ボトルから注入。

空気が入らないようにする為には、嫌気性

ボトル内に先に注入することを指示して

いる文献もありますが、好気性から先に

注入した方がいいという説もあります。

特に充分な採血量を採取出来なかった場合

等は、先に好気性ボトルから注入した方が

いいようです。

要は汚染菌(皮膚の常在菌など)の混入を

防ぎ、適切な量を好気性ボトル内に注入

することが大切になるようです。

 

 

◆注入後の処理

①注入後はよく混和する。

②速やかに検査室へ提出

③保存しておく場合は室温。冷やさない

★冷蔵庫などに保存しておかない。

 

 

◆以前と違う点は?

●静脈血の採取

以前は、血液培養は動脈血を採取するの

が一般的でした。

今では、動脈血も静脈血も検査にさほど

違いが無いということがわかり静脈血の

培養が多くなってきています。

動脈血の採血よりも手技が簡単で、患者

さんへの負担も軽いということもあります。

 

●注射針の取り換え

以前は皮膚の常在菌が注射針を介して

ボトル内に混入する危険があり、新しい

注射針と交換していました。

現在は皮膚消毒が正しく実施されていれ

ば、注射針を新しく交換しなくてもよく

なりました。

針刺し事故の防止にもつながる為です。

 


◇参考文献

書籍

最新医学大辞典(医歯薬出版株式会社)

ポケット看護辞典(廣川書店)

写真でわかる基礎看護技術①看護技術を基礎から理解!(株式会社インターメディカ)

OXFORD ポケット看護辞典 廣川書店

ナース必携最新基本手技AtoZ EXPERT・NURSE 保存版 小学館

ポケット版カルテ用語辞典 編集大井静雄 照林社発行 小学館発売